2021年6月号 第424号
御教歌に学ぶ佛立信者のご信心と人生
ー功徳を積むとはー
おのが身につみし功徳は
火にもやけず
人もぬすまず持ちて行くなり
信行に励むことによって積み重ねた功徳こそがあなたの魂と共に未来世に持っていける宝なのです。この 宝は誰に盗まれることもなく、火葬の際、火に焼かれることもないのです。
ある仏弟子の逸話
仏弟子の一人にアヌルダという盲目の男性がいました。
ある日、アヌルダは針と糸を手に衣の破れを繕おうとしましたが、なかなか針の穴に糸を通すことができ ません。業(ごう)を煮(に)やした彼は「誰か私のために針と糸を持って手伝ってくれる者はいないか」と呟(つぶや)いていました。
「アヌルダよ、私にその針と糸を渡しなさい」釈尊はアヌルダに語りかけられました。
その声の主が釈尊であることに気づいたアヌルダは恐縮して、「いえ、私はお師匠さまにそのようなことを申したのではございません」と答えると、釈尊は針と糸をそっとアヌルダの手から取り、こうおっしゃいました。「私にさせてくれるがよい。私も功徳を積ませてもらいたいのだ。世の人は皆、幸せを求めている。が、私ほど幸せを求めている者はいないのだよ。だからお前のためではない、私のためなのだ。遠慮することはないのだよ」
釈尊にとって功徳を積むことはすなわち、まことの幸せを求めることだということ、この逸話はそれを教 えているのです。
「功徳」とは信行ご奉公に心がけることによって積んだ「不幸、災いを遠ざけ、幸い、福を招き寄せる精 神的エネルギー」のことです。
お互いに、まことの幸せを得るために、功徳を積む道を歩ませていただきましょう。